失敗しない弁護士の選び方
このホームページをご覧いただいているということは、相続問題のお悩みを解決できる弁護士をお探しなのかと思います。しかし最近では弁護士が運営しているホームページは非常に多く、どの事務所に相談すればいいか迷ったというお声も聞かれるようになりました。弁護士を○年以上経験してきた私から弁護士の選び方のポイントをお伝えしたいと思います。
①相続問題の解決実績を多数持つ弁護士に依頼しましょう
②弁護士にかかる費用の理由や内訳を丁寧に説明する弁護士に依頼しましょう
③話を最後まで聞き、メリット・デメリットの両方を説明する弁護士に依頼しましょう
目次
相続に強い弁護士は実は少ない?弁護士によって結果・満足度が変わる?
①相続問題を依頼するなら解決実績を多数持つ弁護士に
最近ではホームページで「相続に強い」といった表現を見られるようになりましたが、本当に相続に詳しいかどうかは分かりません。そのような時は相談する弁護士の相続問題の解決件数を聞くことが良いでしょう。なぜなら1年間に発生している相続トラブル数は日本中の弁護士数の半分もなく、単純計算で1人の弁護士が2年に1度しか相続事件を依頼されていない計算になるため、相続事件を解決した経験が非常に少ない、もしくは経験がない弁護士が数多く存在しているからです。
※司法統計の遺産分割調停の1年あたりの終結件数が13,000件前後で弁護士は現在4万人以上いることから半分以下としています。
相続は遺産の種類によって分け方のルールに細かい規定があるため、問題解決の実績数・質によって解決結果に大きな影響を及ぼすことが多くあります。依頼する弁護士の交渉一つで数百、数千万円の遺産額が変わりますので、慎重に選ばれることをおすすめします。
ちなみに、実績の有無は年齢には限りませんので、若くとも相続問題を多く扱う事務所に在籍している弁護士であれば、実績数も多く安心して依頼していいかと思いますが、逆に年齢を重ねた弁護士でも相続の経験数が非常に少ないということもありますので、弁護士歴よりも解決件数に注目すべきかと思います。
また、解決実績ではありませんが、家庭裁判所の家事調停委員や、地方裁判所の家事調停官などを経験した弁護士であれば、裁判所側で数多くの相続事件を見た経験があるため、裁判になったとき(調停・審判)のことまで見立てて問題を解決する道筋を立ててもらうことができるため、相談されると良いでしょう。
②弁護士にかかる費用の理由や内訳を丁寧に説明する弁護士に依頼を
弁護士にご相談いただく際に一番ご不安に思われているのは「弁護士費用=料金」のことではないでしょうか。みなさんにとって慣れない言葉が多く使われるため、私もできるだけ丁寧にご説明しようと努めておりますが、それでもご質問をいただくことが数多くあります。
当事務所にいらしたお客様から聞いた話では、弁護士によっては内訳や理由などを説明せずに口頭で「500万円くらいかかりますよ?やりますか?」と提案するような先生もいるようです。もちろんですが、見積などを作り丁寧に説明をしてくれる弁護士を選ぶべきです。
しかし、そもそも見積もりに書いてある言葉がよくわからないという方が多いため、ここで簡単に解説させていただきます。
- 着手金とは、弁護士に依頼をする際に、依頼者が弁護士に支払う最初の費用のことを指します。これは、弁護士が案件に着手する(仕事を開始する)ための費用で、訴訟の結果の成否に関わらず支払われるものです。つまり、勝訴・敗訴に関係なく返金されない性質を持っています。
- ・報酬金とは、弁護士が依頼者のために行った業務が成功した場合に支払われる成功報酬のことを指します。具体的には、裁判や交渉で依頼者が勝訴したり、良好な解決が得られたりしたときに、依頼者が弁護士に対して支払う金銭です。
- 出張日当とは、弁護士が裁判や交渉のために遠方へ出張する場合、その移動時間や滞在時間に対して支払われる手当です。出張に伴う通常業務の停止や他の案件に影響が出ることを考慮し、その補償として支払われます。
- 交通費とは、弁護士が案件に関連して移動する際に発生する実際の移動費用のことを指します。これは、依頼者が弁護士に支払う報酬とは別に、弁護士が出張や裁判所への出頭、調査などで移動する際に発生する費用を依頼者が負担するものです。
- 印紙代とは、裁判や各種申請を行う際に必要となる収入印紙の費用を指します。これは、弁護士が依頼者の代理で裁判所や行政機関に提出する書類に貼付するための費用で、主に裁判手続きや登記申請の際に必要となります。
- 不動産鑑定費用とは、弁護士が依頼者の案件に関連して不動産の価値を評価するために、不動産鑑定士に依頼して行う鑑定の費用を指します。相続財産に不動産が含まれている場合、離婚時に財産分与を行う場合、不動産を巡る訴訟、例えば不動産の売買契約に関する紛争や、借地権の価格に関する争いなどで、証拠を裁判所に提出する場合などに、不動産の価値を正確に評価するために鑑定が行われます。
実費に含まれるもの(よくあるものを記載しています)
・全部事項証明
全部事項証明書とは、「登記事項証明書」の一種で、不動産の登記情報を全て記載した証明書のことを指します。不動産の権利関係を詳細に確認することができるため、不動産の売買や相続、裁判など、正確な情報が必要な場面で利用されます。必要な場合は、法務局で取得することができ、手数料がかかりますが、重要な意思決定に役立つ情報を提供してくれるため、非常に価値のある証明書です。2024年現在、窓口での発行手数料は1通あたり600円、オンラインでの請求は480円です(窓口受領の場合)
・戸籍取得費用
戸籍の取得費用は、戸籍の種類や自治体によって異なります。一般的に、戸籍には以下の種類があり、それぞれ費用が異なります。記載内容で謄本(全部事項証明書)か抄本(個人事項証明書)と区別されます。
- 戸籍謄本・戸籍抄本: 1通あたり450円程度
- 除籍謄本・除籍抄本: 1通あたり750円程度
- 改製原戸籍謄本・改製原戸籍抄本: 1通あたり750円程度
・手紙の受発送の費用
手紙の受発送費用は、手紙のサイズ、重さ、送付先の地域によって異なります。
③話を最後まで聞いてくれて、メリット・デメリットの両方を説明する弁護士に依頼をしましょう。
最後にお伝えしたいのは、あなたの話をしっかり聞き、メリットもデメリットも伝える弁護士に依頼すべきということです。
相続の相談者からよく聞かれるのは、「他の弁護士事務所に行ったら、一方的に話されて話をよく聞いてくれなかった」や「よくわからないが叱られて怖かった」のような、弁護士がきちんと話を聞いてくれなかったというものが意外に多いものです。
良い弁護士というのは、相談者の希望をしっかり聞いたうえで、その希望を実現するための方法や、実現できるかどうかを忖度なしに伝えられる弁護士だと思います。
相続に関する法律上の決まりには、感情的には納得しにくいこともあるのが現実です。
例えば、介護を一生懸命していた相続人と、全くしていなかった相続人が兄弟で、それ以外の条件が同じだった場合、遺産は半分ずつ分けることが決まりなのが法律の世界です。
そのため、私たち弁護士はあなたの希望通りにいかないこともお伝えすることがあります。
納得できないことかもしれませんが、できないことをできると言って報酬をいただくような弁護士は良い弁護士とはいえません。
あなたにとって本当に正しい提案をしてくれる弁護士かどうかを見極めることが重要です。
最後になりますが…
弁護士に依頼する目的は、相続する遺産を増やすことがほとんどかと思いますが、
相続トラブルが発生しているときには、相手とのやり取りや裁判所へ提出する文章の作成などを全て弁護士に任せることで、精神的に非常に楽になることができるため、相手とのやり取りのクッションとして弁護士を活用していただくのも効果的だと考えています。
ご家族が亡くなり、非常に悲しい思いをされているときに、故人を偲ぶ時間をじゅうぶんにとるためにも、弁護士へのご依頼を検討していただいてもよいかと思います