相続・遺産分割を弁護士に相談するなら稲葉セントラル法律事務所 蒲田・自由が丘・盛岡

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実家の相続が決まったら何をすべき?まず考えることとやるべきことを弁護士が解説

  1. 実家の活用方法を決める

    相続財産に実家がある場合、まず考えなければならないのが、実家の活用方法です。活用方法によって今後の手続きが変わってくるため、相続が発生したらすぐに相続人たちで話し合う必要があります。しかし、今住んでいる家が別にある場合や、実家が遠方にある場合には、実家を受け継いだとしても活用方法に迷うこともあるのではないでしょうか。

    ここでは実家を相続した場合の活用について、主な方法5つを紹介していきます。

    • 実家を相続し、そこに住み続ける

    実家に住むことを希望している相続人がいる場合は、手続きを行い実家に住むことができます。この場合、相続人が1人なら問題ありませんが、複数の相続人がいる場合には、遺産分割を行わなければなりません。

    • 実家を相続して、他人に貸す

    実家に相続人が住むのではなく、そのまま所有しつつ賃貸物件として貸し出す方法もあります。その場合は、借り手が見つかりやすい立地かどうか、リフォームの必要があるのか、などを検討したうえで決断しましょう。こちらも、相続人が1人の場合は比較的決断しやすいですが、複数の場合は、権利の問題などが複雑になるケースが多いので、事前に弁護士や税理士に相談するのがおすすめです。

    • 実家を売却する

    相続人の中に実家に住むことを希望している人がいない場合や、実家が遠方にあり、管理をするのが大変な場合には、実家を売却することが考えられます。ただし、空き家は買い手が見つかりづらく、売却までに時間がかかる可能性があります。

    • 相続放棄する

    相続した土地によっては、活用もできず売却もできない場合があります。その土地の管理費用や固定資産税の負担を考慮して、「相続放棄」(民法938条)という選択も考えられます。

    相続放棄は、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てて(民法915条1項)、被相続人の権利や義務を一切受け継がないことにする手続です。これによって不要な土地の相続を行わないことも可能ですが、相続放棄は、不要な土地だけでなく、預貯金や株式など全ての資産の相続権も失うことになるので注意が必要です。

    • 相続土地国庫帰属制度を利用する

     「相続土地国庫帰属制度」は、相続又は遺贈によって宅地や田畑、森林などの土地の所有権を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に引き渡す(国庫に帰属させる)ことができる制度です。相続放棄とは異なり、預貯金や株式などの財産を相続しつつ、土地だけを手放すことができますが、更地にする必要があり、かつ、厳格な要件をクリアする必要があります。相続土地国庫帰属制度をご利用の際は、土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)へお問い合わせください。

    参考:法務省HP「相続土地国庫帰属制度のご案内」https://www.moj.go.jp/content/001390195.pdf 

     

    • 実家を持ち続けるメリット・デメリット

    実家を持ち続けると、次のようなメリットとデメリットがあります。

    【メリット】

    実家に移り住むことで、居住費や管理費を抑えることができる
    実家を他の人に貸すことで、収益化することができる。

    【デメリット】

      • 固定資産税などの維持費がかかる
    • 修繕やリフォームが必要になる可能性がある
    • 資産価値が目減りするリスクがある
    • 老朽化が進行すると市場価値が大きく目減りする
    • 空き家のまま放置した場合、周辺の景観に悪影響を与える可能性がある
    • 資産価値の高い実家を相続すると、高額な相続税が発生する可能性がある
    • 実家を手放すメリット・デメリット

    実家を手放すと、次のようなメリット・デメリットがあります。

    【メリット】

    維持管理費や修繕費がなくなる
    固定資産税や相続税の負担が減る
    一時的なまとまった収入を得られる
    空き家を巡るトラブルを回避できる

    【デメリット】

    売却するための費用がかかる
    売却までに時間がかかる場合がある
    借主が見つからないと利益が得られない
    空き家のまま放置した場合、トラブルになる可能性がある

     

    実家・不動産の相続手続きの流れ

    遺言書の有無の確認

    相続が開始したら、まずは遺言書の有無を確認します。遺言書があれば、基本的には遺言書の内容に従って相続することになるため、遺言書の有無は速やかに確認すべきです。

    • 相続人の確定と相続財産の調査

    相続人の確定とは、被相続人の戸籍謄本を辿って、誰が相続人であるかを明らかにする作業です。1人でも欠けていると遺産分割協議が成立せず、各機関も相続手続きに応じてくれないため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取り寄せて相続人が誰であるかを確認します。

    また、相続財産は遺産分割や相続税申告に関わるため、実家だけでなく、負債も含めたすべての財産を調査する必要があります。

    • 遺産分割協議、遺産分割協議書の作成

    相続人が複数人いる場合、相続が開始すると、いったん相続財産は相続人の間で共有となります(民法898条1項)。遺産分割とは、一応相続人の共有となっている遺産を、相続分に応じて分割し、各相続人の財産にすることをいいます。

    遺産分割は、第一に遺言による分割の指定があればそれに従います(民法908条1項)。第二に、相続人全員の協議により行います(協議分割、民法907条1項)。遺産分割が成立すると、各相続人は遺産分割協議等で定められた内容どおりに遺産を相続開始の時にさかのぼって取得(承継)することになります(民法909条)。

    不動産の相続の場合、手続きに遺産分割協議書が必要になるため、必ず作成しましょう。

    • 登記移転

    遺産分割の内容が確定したら、不動産については相続登記を行います。令和6年(2024年)41日より相続登記が義務化され、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記を行うことが必須となりました(不動産登記法第76条の2第1項)。正当な理由なく相続登記が行われなかった場合、10万円以下の過料が科される場合があります(同法第164条第1項)。

    • 相続税の申告

    相続税は、被相続人から相続や遺贈によって取得した財産および相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産(「相続時精算課税適用財産」といいます。)の価額の合計額が基礎控除額を超える場合に、その超える部分に対して、課税されます。基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の算式で計算します。[1]

    相続税の申告書は、被相続人の死亡(=相続の開始)を知った日の翌日から10か月以内に提出すること、そして相続税の納付も同じく10か月以内に行うことが定められています。[2]

    さらに、被相続人に所得があった場合は4か月以内に準確定申告と納税をしなければなりません。

    相続税の申告に関して、詳しくは国税庁のHP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/code/bunya-souzoku-zoyo.htm )をご参照ください。

     

    1. 兄弟姉妹で実家を相続する際のポイント

    両親が亡くなり、相続人が兄弟姉妹のみである場合、相続財産はいったん共有となります(民法898条1項)。共有の持分割合は、法定相続割合となるため、例えば3人兄弟で相続した場合には、3分の1ずつの共有持分割合で不動産を共有します。

    不動産が共有である場合、当該不動産を処分するためには、原則として共有者全員の同意が必要です(民法251条1項)。共有のまま放置しておくと、兄弟の子どもの代の2次相続、兄弟の孫の代の3次相続により共有者が雪だるま式に増え、共有者全員の同意をとることが難しくなり、売却などが難しくなってしまいます。

    このような事態を避けるために、実家や土地を相続した場合は、兄弟間で話し合い、誰かの単独所有にするか、または処分(売却)しておいたほうが良いでしょう。

     

    1. 実家の相続でもめてしまったら

    土地や建物は分割することが難しい資産です。そのため、実家の相続は相続人間でトラブルになることが多くみられます。

    主な遺産が自宅の土地・建物のみであるケースは、実家を相続する相続人と、その他の相続人の遺産の取得額に大きな差がでるため、居住権や代償金を巡ってトラブルが起こる確率が高くなります。また、被相続人の土地・建物を誰も相続したがらない場合であっても、土地・建物の処分の方法や費用負担を巡ってトラブルになりやすい傾向にあります。

    実家の相続で揉めてしまった場合、よくある解決策として、相続人のうちいずれかが実家を相続し、そのあとで他の相続人に相続分に合わせた現金を配分する(代償分割)と実家をお金に換えて分配する方法(換価分割)がありますが、とるべき対応策は事案によって異なります。実家の相続で揉めてしまった場合、速やかに弁護士にご相談下さい。

    (詳しくはこちらの記事をご参照ください。)

     

    1. 弁護士に相談するメリット

    実家の相続を弁護士に依頼することには、以下のようなメリットがあります。

    状況に合ったアドバイスを受けられる
    不動産の価値を適切に評価してもらえる
    相続人間でもめた際に調整してもらえる
    遺産分割調停や審判の対応が可能となる

    状況に合ったアドバイスを受けられる

    実家を相続した場合の活用方法は多数あり、選択肢によってその後行う遺産分割の方法などが変わってきます。

    遺産分割に限っても、分割の方法は4種類あり、相続人の置かれた状況によって、不動産をどの分割方法とするのが適切かは異なります。弁護士に相談することで、最も適切な分割方法について、具体的なアドバイスを求めることが可能となります。

    たとえば、共同相続人の1人が不動産を取得することを希望するのであれば、代償分割を選択してほかの相続人にはそのほかの財産を譲る、または金銭的な補償をする場合の金額等の目安や算定方法のアドバイスをもらうことができます。

    • 不動産の価値を適切に評価してもらえる

    不動産の価値を評価する方法は複数存在します。具体的には、固定資産税、路線価や実勢価格といった算出方法があり、いずれの方法で算出するかによって、不動産の金額は異なってきます。

    また、収益物件の場合には、収益力から価格を逆算する方法もあり、その金額の算定はなかなか困難です。どの方法により不動産の金額を算出するかにより遺産分割の結果に大きな影響を及ぼすこととなります。不動産や相続に精通した弁護士であれば、どの方法で金額を算出するのが適切であるかも含めて、相談に応じることが可能です。

    • 相続人間でもめた際に調整してもらえる

    相続人同士でそのような場合には、弁護士に依頼することで、相続人間の連絡や調整を弁護士が行い、これまで感情的なやりとりから解放されます。万一激しい対立が生じて紛争になってしまった場合でも、弁護士を間に挟むことで相手方と調整を行うことができる場合もあるでしょう。

    • 遺産分割調停や審判の対応が可能となる

    不動産の分割方法について、相続人同士の話し合いでまとまらない場合、次に家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることが考えられます。調停では、相続人と交互に入れ替わる形で、調停委員2名を間に挟んで、不動産の分割方法等について話し合いを行います。

    調停は、あくまでも相続人間の話し合いになります。そのため、相続人間で不動産をどう分割するか合意できれば、合意のとおり解決できますが、相続人間で合意できなければ、遺産分割審判に移行することとなります。審判は、裁判と同じようなもので、当事者の主張や証拠に基づいて、裁判官が遺産の分け方を強制的に判断します。

    調停や審判になれば、寄与分や特別受益、さらには不動産などといった複雑な法律問題が発生します。このような対応を弁護士に依頼することで、適切な主張立証を行うことが可能となります。

    1. 相続問題でお困りの方は稲葉セントラル法律事務所までご相談ください

    「親が住んでいた実家の不動産が最も高い価値をもっており、実家の帰属先でもめている」、「実家を相続したが、名義人が何世代か前のままだった」、「実家を誰も相続したくなく、空き家のまま放置されている」など、実家の相続は紛争が起こりやすいと言えます。

    弁護士にご相談いただければ、適切な遺産分割方法のアドバイスだけでなく、ご相談者に代わって、他の相続人と遺産分割協議を行うことができます。また、生前に遺言書を作成することで、実家の相続で紛争が発生することを避けることも可能です。

    相続でお悩みの場合、一度弁護士にご相談ください。

    [1] 国税庁HPNo.4102 相続税がかかる場合」(2025217日参照)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm 

    [2] 国税庁HP「No.4205 相続税の申告と納税」(2025217日参照)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm