遺産相続の相談先はどこにする?弁護士、司法書士、税理士、行政書士。銀行、市役所の違いと弁護士に相談するメリットについて
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目次
遺産相続の相談先はどこにする?
相続が発生したら、何から手をつけて良いのかわからない方もいるのではないでしょうか。被相続人が亡くなった場合、必要な手続きは多岐にわたるため、税理士や司法書士などにサポートしてもらうケースがあります。また、遺産分割はもめやすいため、弁護士に紛争解決を依頼することもあるでしょう。
各専門家が対応できる業務は異なりますが、対応業務が一部共通しているため、誰に何を相談してよいのか、混乱する人も少なくありません。
相続の相談先は、主に六つあります。それぞれの専門家が対応できる業務を理解しておくと、「相談したけど対応してもらえなかった」という事態にはならないでしょう。
この記事では、相続に関する主な6つの相談先と、相談内容について紹介します。
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弁護士、司法書士、税理士、行政書士、銀行、市役所の違い
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相続の相談先は主に6つ
相続の相談先には以下の六つがあり、それぞれ対応できる業務が異なっています。
相談先 |
対応業務や相談できる内容 |
税理士 |
相続税対策や相続税申告 |
司法書士 |
登記申請に関する業務全般 |
行政書士 |
戸籍謄本などの収集や書類作成、自動車の名義変更、金融機関の残高証明書取得など |
弁護士 |
相続放棄、相続争いの解決や法的手続きのサポート |
銀行 |
相続財産の運用や専門家の紹介、預貯金口座の解約手続き |
市役所・区役所 |
相続が発生した場合の国民年金や国民健康保険、介護保険の手続き、相続に関する困りごとの相談 |
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相続税対策・申告なら税理士
税務相談や相続申告書などの税務書類の作成、税務調査などの代理行為は税理士の独占業務です。そのため、相続税に関する相談は、税理士に相談しましょう。税理士に依頼すると、申告書作成に加えて、どのように遺産分割すると税金が有利になるかなどのアドバイスも受けることができます。また、戸籍謄本や残高証明書の収集もできるため、相続人の調査や相続財産調査を行うことも可能です。相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月という短期間であるため、困ったときは早めに税理士に相談しましょう
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書類作成や、相続した不動産の名義変更なら「司法書士」
司法書士は、相続による不動産の名義変更の申請や、戸籍の収集、相続に関する書類の作成を行っています。それ以外にも、相続放棄(財産よりも負債の方が多い場合などに遺産を一切相続しない手続)、特別代理人の選任申立(相続人の中に未成年者がいる場合の手続)、遺産分割調停の申立(遺産相続で争いになってしまった場合の手続)などで家庭裁判所に提出する書類の作成を行っています。また、税理士と同様に戸籍謄本や残高証明書の収集もできるため、相続人の調査や相続財産調査を行うことも可能です。さらに、これから遺言書を作成したいとお考えの方への遺言の作成に関する相談や、遺言書の検認(申立自筆で書いた遺言書が見つかったときに行う手続)、遺言の内容を実現する人を選任する手続に関する書類の作成も行います。参考:東京司法書士会HP(https://www.tokyokai.jp/shoshi/property.html )
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書類作成・収集のみを依頼したいなら行政書士
行政書士が相続に関して行うことができる業務は、法的紛争段階にある事案や、税務・登記申請業務に関するものを除き、遺産分割協議書や相続人関係説明図等の書類作成や、その前提となる相続人や相続財産の調査です。 相続税申告や相続登記の必要がなく、相続トラブルも発生していなければ、相続手続きをすべて行政書士に依頼できるため、コスト面のメリットは大きいでしょう。また、「戸籍謄本の収集だけ頼みたい」など、自分で対応できない手続きだけを依頼することもできます。参考:東京都行政書士会HP(https://www.tokyo-gyosei.or.jp/business/inheritance/bislist.html )、日本行政書士会連合HP(https://www.gyosei.or.jp/service/testament )
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相続トラブルが発生しそうなら弁護士
弁護士の一番の特徴は、依頼人の「代理人」になることができるという点です。相続争いが起こった際に、依頼人の代理人になって他の相続人と遺産分割協議を進めたり、場合によっては、裁判所での調停や裁判の手続きを行ったりすることができます。依頼人の代理人になれるのは弁護士だけで、他の士業では代理人になることはできません。相続において、代理人になること以外に弁護士ができる業務としては、・遺言書の検認や執行・相続人調査、相続財産調査・相続放棄手続き・遺産分割協議書の作成などを行うことができ、「相続税申告」以外は、全て行うことができます。また、弁護士の資格を取得すれば、「税理士」として登録することができるため、税理士登録がある弁護士は、相続に関する全業務を行うことができます
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信託銀行
信託銀行では遺産整理業務を一括してサポートしてくれますが、実際の登記手続き等を行うのは司法書士などの専門家です。信託銀行を窓口として手続きを進める形となるため、各専門家へ直接依頼するよりも費用は高額になる傾向があります。信託銀行の相続サービスの特徴は、相続手続きのスケジュールから、遺産分割後の財産の運用までサポートしてくれる点です。相続後の資産の運用や管理方法、不動産の売却などについてもサポートが必要なケースでは、信託銀行への相談を検討してもよいでしょう。
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市役所・区役所
市役所では、行政サービスの一環として、法律や税務の相談を無料で受け付けています。相談できる内容は、交通事故、民事一般、相続関係、債務整理、税務など多岐にわたります。相談に乗ってくれるのは、各連合会に登録している弁護士、司法書士、税理士といった専門家です。どの専門家による相談が行われているかは、市役所によって異なります。また、一般的な内容を相談する場合、専門家ではなく市役所職員が対応することもあります。相談後、正式に依頼を希望する場合には、その専門家が所属する事務所で詳細を話し合い、契約をします。ただし、相談相手となった専門家に仕事の依頼を禁止している市役所もあるため注意が必要です。 行政サービスのため、平日の日中など、利用できる曜日や時間帯に制限があります。時間枠も固定のため、遅刻すると相談できる時間が減ってしまいます。人気がある場合、抽選になることもあるので、必ずしも相談できるわけではないことを覚えておきましょう。
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トラブルやもめごとなった際の相談先は?
これまでに見てきたように、弁護士は法律問題の専門家で、依頼人の代理人になって他の相続人と遺産分割協議を進めたり、場合によっては、裁判所での調停や裁判の手続きを行ったりすることができます。「遺産分割でもめている、遺産分割がまとまらない」、「調停、審判にもつれ込みそう」、「遺留分の請求をしたい、あるいは、請求された」など、相続に関してトラブルや揉め事となった場合には、弁護士に相談しましょう。
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弁護士に相談するメリット
遺産相続を弁護士に相談するメリットは、専門家の中でもっとも幅広い問題に対応できることです。相続では、遺産分割や遺留分、遺言などさまざまな問題が関わるため、法的な観点からの適切な提案が必要になるシーンが多い傾向にあります。ほかの専門家が、一部の手続きを得意としていたり、書類作成のみのサポートであったりするなかで、どのような相談にも的確に回答してもらえるので、とても心強いです。また、依頼すれば各種の調査・書類作成・手続きをサポートしてもらえるほか、依頼人の代わりに裁判所への申立てをおこなうことも可能です。相続人間で揉めることが想定される場合はもちろん、アドバイスしてほしいことが多岐にわたる場合は、弁護士への無料相談を検討するとよいでしょう。
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相続問題でお困りの方は稲葉セントラル法律事務所までご相談ください
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また、当事務所は、税理士・司法書士など他の専門家と密に連携し、相続に関するワンストップサービスを提供しています。そのため、すべての専門知識を一箇所で提供することで、時間と労力を節約し、ご依頼者様の負担を軽減することができます。相続に関するお困りごとは、是非当事務所にご相談ください。