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自宅の相続でもめている

人が財産を残して亡くなった場合、その遺産は基本的に配偶者や子などの相続人に引き継がれます。このとき遺産の相続割合や分割方法などを巡って家族間でトラブルに発展するケースが少なくありません。その中でも本稿では、自宅の相続に関する紛争について解説します。

  1. 自宅相続で揉める原因とは?

自宅相続に関して紛争が多い原因は、土地や建物が分割することが難しい資産だからです。

主な遺産が自宅の土地・建物のみであるケースは、自宅を相続する相続人と、その他の相続人の遺産の取得額に大きな差がでるため、居住権や代償金を巡ってトラブルが起こる確率が高くなります。

また、被相続人の土地・建物を誰も相続したがらない場合、土地・建物の処分の方法や費用負担を巡ってトラブルが発生することが多いです。

このように、自宅の相続は、誰かが相続を希望している場合や、そうでない場合にも紛争に発展することがあります。

  1. 特別受益と寄与分が原因で揉める相続

民法では、共同相続人間の平等を図るため、相続人に対して遺贈(遺言による贈与)や生前贈与があった場合に、これらの贈与等を「特別受益」(民法(以下法令名省略)903条)とよび、相続財産の前渡しと見なして、特別受益を受けた相続人の相続分をその分減らすことで、相続人間の公平を図ることが認められています。

他方、寄与分(904条の2)とは、相続人の中で、被相続人の財産形成または維持に特別の寄与をした者に、法定相続分以上の財産を取得させ、実質的な公平を図る制度です。

例えば、相続人のうちの1人が生前に自宅の建築資金を出してもらった、マンションを買ってもらった場合や、被相続人を献身的に介護していた場合、当該相続人には特別受益や寄与分が認められ、その分相続分が増減されます。

特別受益と寄与分が原因で自宅相続について揉めるケースとしては、長男が「晩年の母の面倒を看てきたのは自分であるから、母が住んでいた自宅は自分が取得する」と寄与分を主張するのに対して、次男が「長男は生前に多額の贈与を受け取っていたため、単独で自宅を相続することはできない」と特別受益を主張することなどが考えられます。

このように、特別受益や寄与分は、取得することができる遺産の割合に直結することから、紛争に発展することが非常に多いです。

  1. 相続人の一部が実家に住んでいる場合は?

⑴被相続人の配偶者が住んでいる場合

まず、相続人の中に被相続人の配偶者がいる場合、残された配偶者に居住権が認められる場合があります。これを、配偶者居住権(1028条)といいます。配偶者居住権が認められる場合、配偶者は居住していた建物の全部について無償で使用・収益をすることができます。そのため、他の相続人は当該建物を使用・収益することができなくなります。

また、配偶者居住権が認められない場合でも、相続開始から6カ月間、配偶者に居住権が保障されます。これを配偶者短期居住権(1037条)といいます。

被相続人の配偶者は、配偶者居住権を活用することで、被相続人が亡くなった後も、元々居住していた家に住み続けられるうえ、相続によって生活資金も確保できます。この場合、実家の所有権は他の相続人にあるため、公平性も担保でき、相続人同士の争いも防ぎやすいでしょう。

⑵配偶者以外の相続人が居住している場合

 例えば、被相続人と同居していた相続人が、そのまま居住することを希望しているケースが考えられます。遺産の分割方法は4種類ありますが、上記のような場合、特定の相続人が土地・建物を相続する代わりに、他の相続人には代償金を支払う「代償分割」という方法による遺産分割を行うことが多いです。

  1. 不動産相続を円満に進めるための代償分割と換価分割

 遺産の分割方法は4種類ありますが、遺産に不動産が含まれる場合、よく用いられる遺産分割の方法が、代償分割と換価分割です。

⑴代償分割

代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人または数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の相続人に対する金銭などの代償を支払う方法です。

例えば、3,000万円の不動産があり、3人の子どもが相続する場合、長男が不動産を相続し、兄弟2人にそれぞれ1,000万円ずつ(法定相続分である3分の1)の代償金を払って解決します。代償分割は現物分割と違い、代償金が支払われるので他の相続人から不満が出にくい分け方です。また分筆できない土地でも建物でも公平に分割できるメリットもあります。ただし、代償分割するときには、不動産の評価が必要ですが、評価方法にもいくつか種類があるので、評価方法を巡って争いが発生する場合があります。また不動産の取得を望む相続人に「代償金の支払能力」がなかったら利用できません。

⑵換価分割

換価分割とは不動産などの遺産を売却し、得られた売却金を法定相続人の間で分配する方法です。

例えば3,000万円の不動産があって3人の子どもが相続するとき、不動産が3,000万円で売れて諸経費が300万円かかったとします。この場合、残りの2,700万円を相続人3名で(3分の1ずつに)わけるので、全員が現金900万円ずつを受け取ります。換価分割の場合、不動産を売却してしまうので「評価」の必要がないため、どの評価方法を適用するかで相続人たちが争うリスクはありません。ただし売却を急ぐと安値でしか売れない可能性もありますし、諸経費が差し引かれるので手元に残る金額が思ったより低くなってしまうケースもあります。

  1. 遺産分割調停の活用

自分たちで話し合っても解決できなければ、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てて、裁判所で話し合いを行います。

調停手続では、調停員が当事者双方から事情を聴くなどして事情をよく把握したうえで、各当事者がそれぞれどのような分割方法を希望しているか意向を聴取し、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をし、合意を目指し話合いが進められます。

遺産分割調停を自己に有利に進めるためには、自分の法的主張を組み立て、証拠を提出する必要があります。そのため、調停の場では法的知識が求められます。

しかし、これらを自分で行うことは容易ではありません。そのため、遅くとも遺産分割調停を申し立てる段階で相続問題に詳しい弁護士へサポートを依頼することをおすすめします。

また、調停の相手方が弁護士をつけてきた場合には、不利になってしまう場合が多いと思われますので、その場合は、こちらも弁護士をつけられることを勧めます。

遺産分割調停は1回で終わることはほとんどなく、1か月~2か月に1回のペースで行われるため、相続の問題解決までの時間が非常に長くなることが多いです。当事務所でも3年以上ご依頼者の方が裁判所に通われるような事例もあります。

ご家族の仲を悪化させてしまう調停に進展する前に、できるだけお早目のご相談をお待ちしています。

  1. 自宅相続で揉めないための遺言書作成

自宅を特定の相続人に相続させたいときは、遺言書に対象者や当該不動産を特定して、「相続させる」と明記することが重要です。判例引用

不動産の特定方法については、登記事項証明書の情報のとおりに記載して特定します。登記事項証明書については、当該不動産が戸建てなのか、マンションなどの区分建物かで項目が異なってきます。

また、遺言者の自宅に対する権利が完全な所有権なのか、共有持分なのかによっても、遺言書の記載内容が異なります。例えば、自宅を購入する際、配偶者などに連帯保証人や連帯債務者になってもらうことがあります。この場合、自宅の所有権は2分の1ずつなどの共有持分となっていることが多くあります。

さらに、相続させる相手が一人なのか、複数なのかでも遺言書の記載内容は異なってきます。例えば、妻だけに相続させたいのか、妻には2分の1、子どもにも2分の1などの一定割合を相続させたいのかで、遺言書の内容を変えなければなりません。

  1. 自宅相続トラブルに困ったときは弁護士にご相談ください

 「親が住んでいた実家の不動産が最も高い価値をもっており、自宅の帰属先でもめている」、「自宅を相続したが、名義人が何世代か前のままだった」、「自宅を誰も相続したくなく、空き家のまま放置されている」など、自宅の相続は紛争が起こりやすいと言えます。

 弁護士にご相談いただければ、適切な遺産分割方法のアドバイスだけでなく、ご相談者に代わって、他の相続人と遺産分割協議を行うことができます。また、生前に遺言書を作成することで、自宅相続で紛争が発生することを避けることも可能です。

 自宅相続でお悩みの場合、一度弁護士にご相談ください。