相談者の妻が長年にわたって被相続人の介護をしていたため、妻を夫の「履行補助者」として特別な寄与があるとして、寄与分が認められた事例
相談の概要
依頼者(年齢・性別)
54歳 男性
亡くなられた方
相談者の母親
相談者の属性
被相続人の長男
遺産の種類
預貯金(3,000万円)、不動産
争点
相談者の妻が長年にわたって被相続人の介護をしていたため、妻を夫の「履行補助者」として特別な寄与があるとして、寄与分を主張することの可否
相談に至った経緯
相続人は、被相続人の子3名。被相続人の母親は、亡くなる5年ほど前から一人で日常生活を送ることが難しくなったため、相談者が被相続人を引き取り、相談者の自宅で最期まで介護していた。相談者は仕事をしていたため、デイサービスやショートステイを利用しつつ、主に相談者の妻が被相続人の介護にあたっていた。また、デイサービスなどの介護の費用は全て相談者夫妻が支払っていた。そのため、相談者が「法定相続分(1/3)以上を相続したい」とのことで、相談があった。
弁護士が対応したこと
ご依頼後、弁護士から相談者の兄弟2名に対して、遺産分割協議の申し入れを行ったが、遺産の帰属について話し合いがまとまらず、当方が遺産分割調停を申立てた。遺産分割調停での争点は、相談者の妻を履行補助者として、相談者に寄与分が認められるか否かであった。そのため、被相続人に介護、看護が必要な状態であったこと、母親が受けたサービスの内容、日数、期間や、相談者の妻が具体的にどのような介護、看護を行ったのかを主張するとともに、主張を裏付ける証拠を可能な限り収集し、裁判所に提出した。
結果
当方の寄与分の主張が認められ、寄与分を加味した遺産分割調停が成立しました。
弁護士所感
寄与分が認められるためには、被相続人が要介護であったこと、相当期間介護、看護を行っていたこと、対価を受け取っていないことなどについて、詳細かつ具体的に整理して主張する必要があります。その際、できるだけ多くの寄与分が認められるためには、相談者夫妻が被相続人を介護、看護していた状況や、被相続人のために支払った額について、当該主張を裏付ける証拠も併せて提出する必要があります。そのため、被相続人が通っていたデイサービスや病院に連絡をして報告書やカルテを取り寄せたり、過去に支払った介護用品の領収書等を集めたりして、できるだけ多くの証拠を提出しました。寄与分の主張は単に面倒をみていたという主張のみでは認められないことがありますが、弁護士が介入し、適切な主張を行ったことで、寄与分がみとめられた事例です。

- 江戸川学園取手高校卒業
- 慶應義塾大学法学部政治学科卒業
- 青年海外協力隊員としてアフリカ・ジンバブエでボランティア活動
- 関東学院大学法科大学院卒業
- 平成24年 弁護士登録
- 平成28年7月より稲葉セントラル法律事務所を開設
- 令和4年4月より弁護士法人稲葉セントラル法律事務所を設立